Oops WOMB

どう考えたってピースじゃないからこそ、ちょっぴりピースを。

どう考えたってピースじゃないからこそ、ちょっぴりピースを。

公開日: 2023.07.26
更新日: 2023.07.26

Oops Magazine Vol.16
Oops WOMB クリエイティブディレクターharu、 ブランドマネージャー小川友菜

クリエイティブディレクター haru.

1995年生まれ。東京藝術大学在学中に、同世代のアーティスト達とインディペンデント雑誌HIGH(er)magazineを編集長として創刊。多様なブランドとのタイアップコンテンツ制作を行ったのち、2019年6月に株式会社HUGを設立。Oopsのクリエイティブディレクターを務める。

ブランドマネージャー 小川友菜

1996年生まれ。2019年に新卒で入社した企業で、美容ブランドの起ち上げや新商品の企画制作、SNS運用などを担当。2023年に株式会社SQUIZにジョイン。重い生理痛をはじめ、子宮まわりの病気や妊娠・中絶など、自身がさまざまな不安や悩みを経験したことから、Oops WOMBをローンチ。趣味はランニング、特技は起きて15分で家を出ること。

今回お話を伺ったのはOops WOMBブランドマネージャーの小川友菜さんと、クリエイティブディレクターのharu.さん。この前編記事では、「子宮(WOMB)」という言葉をブランドネームに掲げ、"ちょっぴりピース"なデザインに落とし込んだ背景や、言葉選びに込めたメッセージなどをお話しいただきました。

ひとまとめにできない子宮の多様性を、ピースなデザインで肯定したい

― まずは、Oops WOMBでのそれぞれの役割を教えてください。

haru.:私は、Oops WOMBがつくりたい世界観をどう届けていくか、というブランド全体の「佇まい」を整えることを主に担当しています。デザインの方向性や細かな言葉選びもそうだし、どんなモデルさんを起用するか考えたり。小川さんは、言っちゃえば全部を見ている人ですよね。

小川:うん、私はブランドやサービス全体を引っ張っていく役割。でも、私に限らずOops WOMBはメンバーみんながそれぞれの役割を超えて、とにかく話し合いながらつくってきた感じがします。

haru.:そうそう。たくさん話しながら進めてきましたよね。

― そもそもブランドの立ち上げは、どんな風に進んでいったのでしょう?

小川:いちばんはじめに、メンバーで座談会をしたんです。ピルを使った経験の有無や、生理の症状も程度もさまざまある中で「今ピルに対してどういうイメージ?」とか「生理にまつわるここの部分ってよく考えたら違和感あるよね」みたいな。

haru.:小川さんは生理が重くて、ずっと大変な思いをしながら付き合ってきたけど、私は高校生のときからピルを飲んでいて。でも、ピルってちょっと怖いイメージを持っていたメンバーもいたり。

小川:そうそう。たった数人のメンバーのなかでも本当に人それぞれだったんですよね。

haru.:あと、子宮を持っているのは「女性」だけじゃないよねという話もしましたね。子宮があるけど男性として生きている人もいるし、性別移行中の人もいる。だから「女性たちのために」じゃなくて、「子宮との日々を送る人たちみんなへ」というスタンスでいたいよねって。

小川:うん。とにかく一つの価値観に決めつけないで「それぞれのやり方でうまく子宮と付き合っていくこと」を肯定することが私たちのテーマだと思ったからこそ、「子宮(WOMB)」をブランドネームに掲げることが決まったんですよね。

― そんな話し合いからブランドがスタートしたんですね。パッケージやブランドサイトのデザインも目を惹きますが、これにはどんな意図があるのでしょうか。

小川:座談会の翌日に、アートディレクターから「こんなのどうかな?」と、アイコンのイメージが上がってきたんです。それを見て「子宮だ!かわいい〜」って。そんな感情になることって普段ないですよね(笑)。子宮って臓器のひとつだから難しく捉えがちだけど、たしかに私たちって、「ラブ&ピース」くらいの軽やかさで、子宮と付き合っていけたらいいねって。

haru.:このアイコンが記号的にまず生まれて、その後にパッケージのイラストやサイトのビジュアルが決まっていったんだけど、ここまで決まるのは割と早かった気がします。

小川:そうですね。パッケージがいろんなショーツのイラストになったのにも意味があって。毎日、引き出しみたいな箱から取り出してピルを飲む感じが、「今日はどんな下着をつけようかな」ってランジェリーボックスを開くときみたい、とアートディレクターがイメージして作ってくれたんです。もちろん、そういうワクワク感の演出だけじゃなく、さっきharu.さんが話していたように、多様な背景の人に届けたいというのもあって。

haru.:下半身にフォーカスしたビジュアルもなんですけど、女性のポートレートとかじゃなく、あえて、この「いろんなショーツをつけた下半身」のイメージを起用したことで、「子宮との日々を過ごすすべての人に」というスタンスもきちんと表明できたんじゃないかな。

小川:モデルさんにピルを持ってもらってビジュアル撮影をしたときは、お薬には見えないくらいハッピーな感じでしたよね。

haru.:わかる。「そういえばこれピルだったんだ」みたいなね(笑)。

ギリギリまで議論して決めた、リアルと希望を詰め込んだ言葉たち

haru.:これはOopsのサービス全体に通じることだと思うのですが、Oops WOMBの世界観でもには、「自分の人生なんだから、自分で決めるぞ」っていう前向きな雰囲気がとても大事だと思っていて。これは最初の座談会のときに、みんなの共通認識で「仕事のパフォーマンスUPに!」っていう、自分というより他人のために元気であるべき、とも捉えられる既存のメッセージに「なんか違うんだよな〜〜」と思ってたから。

小川:「また、"あの日"がやってきた…」みたいなのとかもね。

haru.:そうそう。女性が俯いて辛そうにしている写真に「ブルーなあなたへ...」というコピーが載ってたり。ピルのメリットって、ネガティブ要素が出発点の伝え方もあるからこそ「生理が大変な人しか使っちゃいけない」みたいなイメージにも繋がりそうで、そうはならないようにしたいねっていうのもみんなで話しましたね。

― ブランドメッセージに込められた「子宮ってやつは」という言葉選びも、Oops WOMBらしさだと思いました。

haru.:基本的に、私たちって子宮まわりには振り回されてる前提があるんですよね。だから、ネガティブな表現にはしたくないけど、ただ単に愛でられるものでもなくて。だって私たちが子宮を意識するのって、「痛い」とか「つらい」とか「血が多い」とか、基本的に困ってるときなわけで。それでもやっぱり一緒にやっていかなきゃいけない「手のかかる子」みたいなイメージも伝えたかったんです。

小川:だからメッセージも「"ちょっぴり"ピース」にしたんですよね。「ピースになる」って断言すると、それはそれでリアルとはちょっと違うよねって。

haru.:そうそう。言葉の部分は「ただハッピーなだけじゃないよ」っていうのをちゃんと伝えることに意味があったから、最後の最後までこだわりましたね。ポジティブ感溢れるデザインと、それだけじゃない言葉でバランスをとってる。

小川:特に、「子宮」という言葉をどう扱うかも、ギリギリまで議論しましたよね。子宮を持って生まれたことにそもそも心地よさを感じていない人もいたり、子宮や卵巣をいろんな理由で失った人もいる。センシティブな言葉でもあるから、どこまで堂々と使うべきかは、かなり迷いました。

haru.:うん。それがリアル。でも、体の話をするのは恥ずかしいことではないんだよというのは、Oops がずっと伝えてきたメッセージだったから、最終的に「子宮」という言葉も意思を持って残そうって。そういう意味では、私は結構普段から全然抵抗なく話しちゃってるから、周りはもうちょっとバグってきてるのかも(笑)。

小川:むしろ、今の世の中の固定観念をバグらせたい(笑)。前にアートディレクターのメンバーが「太陽の下であっけらかんと子宮の話をする世界観」っていう表現をしてくれたのが、すっごく頭に残ってるんですよね。Oops WOMBはまさにそういう世界観をもったブランドだと思う。

haru.:「あっけらかんと」明るいイメージでね。センシティブなテーマでも、ジメっとしすぎずにオープンにしやすい風通しのいい空気感をつくることって大事だと思う。

子宮のある体と上手に付き合っていくための選択は、どれもポジティブだと言えるように

― こうして改めて背景の話を聞いたことで、「子宮との日々を過ごすあらゆる人を応援したい」という気持ちが、Oops WOMBの言葉選びやデザインからさらに感じられるようになりました。

小川:子宮って、たぶん100%ハッピーには付き合いきれないものなんじゃないかな。だからこそ、「子宮と上手に付き合っていくためのあらゆる選択肢は全てポジティブだ」って言いたいです。ちょっと真面目な話をすると、子宮まわりは病気の数もすごく多いんですよね。子宮内膜症とか子宮筋腫に、子宮体がんも、子宮頸がんもあるし。子宮頸部異形成(子宮頸がんの前段階と言われる状態)なんて、20〜30代でめちゃめちゃ見つかるんです。私も検査で引っかかったことがあるし、異形成や卵巣のトラブルで手術を経験した人も身近に何人かいます。

haru.:病気とまではいかなくても、生理の重さとか、おりものの悩みとかもあまり話すタイミングってないですよね。人と比較することがないからこそ、気づけないことってあるんじゃないかな。「普通だと思ってたけど、もしかして私って生理が重い方だったの??」みたいなことも全然起こり得ると思う。そういうことに気づけたら、ピルを飲み始めるっていう選択も早いうちからできるかもしれないしね。

小川:ピルってもともと避妊のお薬だから、「積極的に避妊をしている=性に積極的な女性って…」みたいな日本人の民俗性からしてハードルを感じている人もいるはず。でも、そもそも避妊自体、全くネガティブなことじゃないと思うんですよね。だから、「どんな理由、どんな目的でも、ピルを取り入れているライフスタイルはポジティブなものだ」って思える世界をつくっていきたい。Oops WOMBなら、今のピルにまつわる世間の風潮を少しずつでも変えていけるんじゃないかなと思っています。

あとがき

生理まわりの不調や避妊について、一人ひとりが感じたことのある不安や悩みは本当にさまざま。とはいえ私自身、そういった場面で「子宮」を意識したことはなかったので、2人のお話を聞きながらハッとさせられる瞬間がありました。なにより、「子宮との日々をすごすすべての人に」というブランドのスタンスに、誰も仲間はずれにしないという2人の意志を感じます。後編では、もう一つのプロダクトであるおりものシートの誕生背景や、2人がOops WOMBに込めたより深い想いにも触れています。ぜひこちらも読んでもらえると嬉しいです。

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