Oops Magazine Vol.10
美容師 鈴木 昂司
「自分と相性のいい美容師さんを見つけることって、かなり難しい。」そう思ったことはりませんか?5回にわたってお送りするこのインタビューシリーズでは、数ある東京のサロンのなかで個性豊かなスタイルを提案してくれる5名の美容師さんの素顔に迫ります。Oops HAIR、そして髪のプロである美容師さんと一緒に、もっと自由に、好きなヘアスタイルを楽しんでもらえますように...!
連載の1人目は原宿のveticaでトップスタイリストとして活躍する鈴木昂司さんです。
ご本人の優しい空気感とは裏腹に、スタイリッシュなスタイルや鮮やかで美しいカラーがお得意。トップスタイリストになるまでの道のりや、鈴木さんが思う美容師という仕事についてお話しいただきました。
学ぶことが初めて楽しいと思えた美容学生時代
― まずはじめに、鈴木さんが美容師になろうと思ったきっかけを教えてください。
実は高校時代は音楽で成功したくて、ずっとバンドをやっていたんです。
でもやっぱり進路をしっかり決めないと親に迷惑をかけてしまうと思い、とりあえず手に職をつけようと思いました。母が文化服装学院を出ていて、家で服飾の仕事をしていたので、そういう働き方のイメージもしやすかった。結局自分は美容学校に通って美容師を目指したんですけど、初めて勉強が楽しいと思った場所でもありました。それまでは遊んでばかりいた自分が美容学校では無遅刻、無欠席。「本当にやりたいことを学べるって、なんて楽しいんだろう」と気づけたのは自分にとってとても新鮮な発見でした。
時代とともに変化した理想の美容師像
― 美容師を目指したアシスタント時代と、トップスタイリストになった今では心境も立場も全然違うと思いますが、どんな変化がありましたか?
もうveticaで働き始めてから14年も経たったので、もちろん心境も変化したし、街も変わりましたよね。20代前半のアシスタント時代はとにかく目立ちたくて、原宿でバイトもしてたし、カリスマ美容師になりたいっていう気持ちが強かったんです。ちまたではCHOKI CHOKI(内外出版社)という雑誌が流行っていて、今よりも「原宿」っていう街が盛り上がっていた印象があります。
スタイリストとしてデビューしてからは、自分がどうこうというより「自分とお客さんの時間」を大切にしたいという考えに自然と変化していきました。まだアシスタントをしていたとき、海外でヘアメイクを学びたいと思っていた時期もあるんですが、まずは美容師として力をつけたほうがいいと今のサロンのオーナーに言われたことがあるんです。
それからしっかり美容師という職業に向き合おうと思いました。いつしか自分を選んで来てくれるお客さんを裏切りたくないという気持ちも大きくなり、人生に大きな変化を起こすよりも、どんなときも変わらずそこにいる、ということの価値に気がつきました。0から相性のいい美容師を探すのはとても難しいからこそ、一度信じてまた来てくれると本当にありがたいです。今は自分がつくるヘアスタイルで身近な人を幸せにしたい、その一心でやっています。
悩んでいたって、どんな自分も楽しみたい
― 今の時代って、いかに何かを成し遂げたかっていうことに注目されがちですよね。東京の街もめまぐるしく変化するなかで、鈴木さんの「変わらずそこにいてくれる」っていうことには実はすごく価値があるのではないかと思いました。ところでOopsでは新しくAGAのオンライン診療のサービスが始まりますが、鈴木さんのお客さんでも薄毛で悩んでる方ってけっこういらっしゃいますか?
たくさんいらっしゃいます。性別問わず、悩みを持っている方は多いですね。僕は主に髪の洗い方とか、頭皮の環境を整えるケアのお話をしたりします。コンプレックスやお悩みがある方も大歓迎だし、「僕も悩んでるよ」って伝えたいですね。実際に僕もそろそろ薬を飲んだ方がいいかなと思ったりすることもあるんですが、髪がない美容師だっていいじゃんという気持ちもあるんです。将来は坊主にしたいとも思っていますし(笑)どんな自分も楽しめたらいいですよね。
「信頼関係」がとにかく大切
― 身体のことってなかなか友達やパートナーとも話せないですよね。私の周りでもAGAはあまり話されないトピックです。美容師さんだからこそ相談できることなんだなって、改めて思いました。
やっぱり美容師ってすごく特殊な職業だと思うんです。友達でも家族でもない人に頭を触られるって、普段なかなかないですよね。それを任せてもらうっていうのは、本当に特別なこと。信頼関係がしっかりと築けていなければ、お客さんが本当に思っている「なりたい自分」を話してもらうのも難しいんじゃないかと思います。
髪ってアイデンティティを表すものでもあって、ファッションよりもその人と「密着」している。だからこそ、僕のところに髪を切りに来てくれるお客さんには「素」の状態でいてほしいんです。とにかく無理しないでいてほしい。サロンでのコミュニケーションが苦手というお客さんもたくさんいらっしゃるなか、喋らなくても寄り添える、そんな美容師でいれたらいいなと常々思っています。最終的に髪型で喜んでもらうのが僕の仕事ですから。
鈴木昂司
instagram @koji_suzuki_
vetica
ADDRESS
渋谷区神宮前3-25-5 4F-5F
OPEN
11:00~21:00(日・祝 11:00~19:00)
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毎週月曜日、第1・第3火曜日
聞き手:haru.
構成:haru.
写真:小林真梨子